研究内容

中井研における研究内容をキーワードとしたクロスワードです。
ぜひチャレンジしてみてください!
※ 内容の簡単な紹介と文献は問題文のリンクから参照してください。


タテのキー
  1. 相対論的量子化学計算プログラム

  2. 無限次ダグラス・クロール・ヘス法

  3. 局所応答分散力法

  4. 核・電子軌道法

  5. 短時間フーリエ変換

  6. エネルギー密度解析

ヨコのキー
  1. 内核・価電子・リュードベリ

  2. 人工知能

  3. 分割統治密度汎関数強束縛分子動力学法

  4. 調和溶媒和モデル

  5. 分割統治法

  6. 凍結軌道解析

  7. 局所ユニタリー変換

RAQET
rogo_RAQET

元素戦略では希少元素・規制元素の使用を控え、ユビキタス元素を活用することを目指している。しかし、この元素の多くは周期表の下方の重元素であり、相対論効果が無視できない。そのため元素戦略を理論的に推進するには、量子力学と特殊相対性理論を融合させた相対論的な量子化学理論へのパラダイムシフトが不可欠である。中井研究室では、実用的な相対論的量子化学計算を実現すべく、様々な理論・アルゴリズムを開発してきた。さらに、これらのすべての理論を含むオリジナルの次世代相対論的量子化学計算プログラムRelativistic And Quantum Electronic Theory (RAQET) を開発した。RAQETでは、従来の量子化学計算プログラムで用いられている様々なオプションを、相対論的量子化学計算に特化させて計算できる。また、金属クラスターのような重原子を百個以上含んだ分子系の高精度な相対論的量子化学計算も実行可能である。

重要文献

  • M. Hayami, J. Seino, Y. Nakajima, M. Nakano, Y. Ikabata, T. Yoshikawa, T. Oyama, K. Hiraga, S. Hirata, H. Nakai, "RAQET: Large-scale two-component relativistic quantum chemistry program package", J. Comput. Chem., in press (2018).

IODKH

周期表のあらゆる元素を含んだ化合物の電子状態を正確に記述するためには、量子力学と特殊相対性理論を融合させて導出される、ディラック方程式を解く必要がある。このディラック方程式の解は電子の成分だけでなく、陽電子の成分も含んでいるために計算時間が膨大となり、計算できる分子の大きさが制限される。一方、化学において重要となるのは電子成分のみである。そのため、ユニタリー変換により電子成分と陽電子成分の割合を変化させることで各成分を分離し、電子成分のみの方程式を解く手法が開発されてきた。その一つとして、1電子系に対して完全に成分を分離させる、無限次ダグラスクロール変換 (IODKH) 法がある。この手法は、多電子系にも拡張され、原子番号100を超える原子・分子に対しても、ディラック方程式の解と同等の結果を与えることが確認されている。

重要文献

LRD

今日では、近似的な交換相関汎関数を用いた密度汎関数理論 (DFT) 計算が普及している。B3LYPなどの従来型の近似汎関数は、無極性分子間にはたらくvan der Waals力の大部分を占める分散力を評価できず、分散力補正が必要となる。中井研究室では、DFTにおける分散力補正法として局所応答分散力 (LRD) 法を開発した。LRD法では、分散力補正エネルギーをDFT計算で得られた電子密度から求めることで、経験的な要素を最小限に抑えつつ効率的な分子間相互作用の取り扱いを可能とした。LRD法はアイオワ州立大学のゴードン研究室で開発されている量子化学計算パッケージGAMESSに実装されており、誰でも利用可能となっている。

重要文献

NOMO

電子と原子核の運動を分離するBorn-Oppenheimer (BO) 近似は、量子化学の基礎として受け入れられている。BO近似に基づく量子化学計算では、原子核を固定された点電荷とした上で電子状態の計算が行われる。実際には原子核は波動性を持ち、それに由来する種々の現象が観測されている。中井研究室では、原子核に対しても電子と同様の1粒子軌道を導入したNuclear Orbital plus Molecular Orbital (NOMO) 法を開発した。これまでに、NOMO法を用いた原子核の波動関数の再現、水素結合における同位体効果の再現とその解釈、プロトン束縛エネルギーの高精度かつ効率的な計算などに成功している。

重要文献

STFT

理論化学・計算化学の分野では、分子動力学シミュレーションや電子状態の実時間発展法によって時間に依存した現象を直接扱うことができる。短時間フーリエ変換 (STFT) は、時間に依存して変化する信号から周期的な情報を抽出する手段として有用である。中井研究室ではSTFTをエネルギー密度解析 (EDA) と組み合わせた手法を提案した。この手法をプロトン化された水二量体のab initio分子動力学シミュレーションに適用し、エネルギー移動と振動モードの関係を明らかにした。また、STFTを電子状態の実時間発展法に適用することで、光によって誘起された分子内の分極が分子間に伝搬する様子を明らかにした。

重要文献

EDA

電子状態計算の結果を化学的に理解することは、反応機構・化学現象の解明、新規の化合物の設計などにおいて非常に重要である。中井研究室では、電子状態計算を解析する手法として全エネルギーを構成原子ごとに分割する、エネルギー密度解析 (EDA) を開発した。EDAにより、分子内・分子間相互作用に伴う構成原子のエネルギー変化を実際に見て解析することができる。これにより、表面吸着現象の説明や新規有機化合物の設計も実現した。さらにEDAを、分子間相互作用や分子内の化学結合の寄与などを分割できるように拡張し、Diels-Alder反応の解析、新しい超原子価化合物の設計、理想的な固体表面モデルの設計へと応用した。

重要文献

CVR

電子励起状態を計算するための理論として、時間依存密度汎関数理論 (TDDFT) が挙げられる。TDDFTの計算精度は交換相関汎関数に依存する。B3LYPなどの一般的な汎関数を用いてTDDFT計算を実行すると、価電子励起のエネルギーに関しては比較的よい値が得られる。しかし、1s軌道など内殻軌道からの励起や、空間的に広がったRydberg軌道への励起では精度が悪い傾向が知られていた。中井研究室では、電子励起の種類によらず高精度な励起エネルギーを与えるCore-Valence-Rydberg B3LYP (CVR-B3LYP) 汎関数を開発し、TDDFTにおける精度の問題を解決した。

重要文献

AI

情報科学の深化と計算資源の充実により、人工知能 (AI) 領域の研究は目をみはる発展を遂げ、今日は関連したニュースを目にしない日が無いほどである。AIは機械学習や郡知能と呼ばれる技術から成り、これらはデータの中に潜む法則を関数として定式化することができる。これらの手法の応用範囲は広く、中井研究室ではAIを用いて理論化学・計算化学における課題を解決する研究に取り組んでいる。例えば、高速な密度汎関数理論 (DFT) 計算における大きな課題である運動エネルギー汎関数の開発にAIを応用し、既存のものよりも高精度な汎関数を開発した。また、低い計算コストで見積もった分子のエネルギーから、完全基底関数系 (CBS) における分子のエネルギーを予測する手法にAIを適用し、AIを用いた外挿の有用性を示した。

重要文献

DC-DFTB-MD

近年の計算機および分子シミュレーション手法の発展に伴い、大規模、長時間シミュレーションの可能性はますます拡大している。中でも分子動力学 (MD) 法は、時間に依存した物理量を求めることができるため、幅広い分野で用いられている。MD法における運動方程式の粒子間相互作用エネルギーを求める手法はいくつか挙げられるが、中井研究室では分割統治型密度汎関数強束縛 (DC-DFTB) 法を用いたMD、DC-DFTB-MD法を開発している。線形スケーリングのDC-DFTB法では十万原子系の大規模分子を量子的に扱うことができ、タンパク質や溶媒系における化学反応を記述することができる。これまでに、二酸化炭素分離吸収のためのアミンとの反応や水中のプロトン拡散の動的、微視的な過程を明らかにした。

重要文献

HSM

溶液中分子の反応性を量子化学計算により評価する場合、連続体モデルが広く用いられている。連続体モデルでは、反応物である溶質のみを量子化学的に取り扱い、溶媒を連続体として取り扱うことにより、低い計算コストで溶媒の効果を取り込むことができる。また、一般的な量子化学計算において、理想気体モデル (IGM) に基づいた熱力学量の計算が広く行われている。しかし、連続体モデルと同時にIGMを用いると、エントロピー項を過大に評価し、非物理的な結果を与えてしまう。中井研究室では、溶液中分子の並進、回転の効果を調和振動子で近似する調和溶媒和モデル (HSM) を開発し、沸点、蒸発熱、標準水素電極などの物性値の評価で、IGMの結果を大きく改善できることを明らかにした。

重要文献

DC

従来の電子状態計算では分子サイズが大きくなるにつれて計算時間が大幅に増加する。また、高精度な計算を実行するほど計算時間が大幅に増加するため、分子サイズと計算精度はトレードオフの関係にあった。その問題を解決するために、中井研究室では線形スケーリング手法のひとつであるである分割統治 (DC) 法に基づく電子状態計算プログラムを開発してきた。DC法は全系の電荷・スピン多重度を指定するだけで電子状態が非局在化した系にも適用が可能である。また、DC法は適用する計算手法に制約がない。これまでに電子相関理論や励起状態理論等の様々な計算理論に適用可能な手法を開発し、その有用性を検証した。

重要文献

FZOA

凍結軌道近似 (FZOA) は励起状態を議論する方法の1つである。通常、励起状態は多くの励起電子配置の足し合わせにより記述されるが、FZOAは励起主配置のみを考慮する方法である。多配置性は定量的な計算を行う際に必要であるが、電子配置の直観的な解釈、理解が困難である。一方、FZOAは主配置のみの取扱いのため、議論を簡略化することができ、定性的な解析に有効である。これまで中井研究室ではFZOAを用いることで、対称性をもつ分子における縮退軌道間の励起状態準位の分裂やエネルギーに関する一般則を見出してきた。

重要文献

LUT

周期表の任意の元素に対して同等の精度で電子状態を表現するためには、相対論効果を考慮した手法を用いることが不可欠である。そのための効率的な手法として、ディラック方程式にユニタリー変換を適用することで、電子成分のみの方程式にする無限次ダグラスクロール (IODKH) 法などの2成分法がある。この手法をより大きな分子系に適用するため、中井研究室では局所ユニタリー変換 (LUT) 法を開発した。LUT法では相対論効果の局所性を利用する。すなわち、電子は一般的に原子の内殻近傍で光速に近くなり、核から遠くなるにつれて速度が急激に減少するという事実を用いる。この性質を利用して、ユニタリー変換を適用する範囲をある距離の閾値以下の空間のみへと制限することができる。LUT法により、精度を損なうことなく非相対論と同等の時間で相対論的量子化学計算が実行可能となった。

重要文献