研究室紹介


 化学・生命化学科では、学部生は学部最終年度に研究室に配属され、卒業研究を行います。研究室配属を控えた諸君は、希望研究室について具体的に考えていると思います。研究室を選ぶ際には、研究内容が面白そうであるとか、研究室の雰囲気が良さそうであるとか、判断材料はいろいろとあると思います。ここでは、中田研究室の卒業研究における生活を簡単に紹介したいと思います。

3月

 研究室仮配属決定(B3生)の時期です。先輩からのテーマを引き継ぐケースがあるので、中田研では、研究室仮配属決定直後から、すぐに研究室に来てもらいます。私は、B3生全員と個別に面談し、今後のことを含めてディスカッションします。また、実験台・ロッカーの場所を決め、諸君は研究を進める準備を始めます。初めは、各人に担当の修士課程や博士課程の先輩を割り当て、先輩・教授の指導の下で、先輩の行った実験のトレース実験を行います。その中で基本操作、分析装置の操作法、各種スペクトルの解析法などを学んでいきます。この時期は、研究室に慣れ親しみ、電子ジャーナル、SciFinderの利用法や研究を進めるための情報入手の方法を身に付けること、器具や試薬の場所、研究室のルールを覚えることはとても重要です。先輩の話を良く聞いてください。

 親睦を深める目的で、研究室仮配属決定後、遅くならないうちに研究室員全員で新歓コンパをやります。中田研のコンパはマイペースで、飲みたい人が勝手に飲むパターンです。

4月

 4月になり研究室配属が確定し(B4)、実験を行える状態になったところで研究テーマを決め、卒業研究を開始します。研究は、学生実験やトレース実験とは異なり、うまくいく保証は全くありません。最先端の研究には、多かれ少なかれ、暗中模索の状態があります。その中で、得た実験結果を解析し、次にどのような検討をすべきかを考え、研究を進めて行きます。前例のないことを検討して行くのが研究なので、失敗があって当然です。しかし、たゆまず検討を続ければ必ず研究の芽が出るのが化学ですから、くじけずに根気強く研究を続けてほしいと思います。うまくいかなかった時には、同じような経験をしてそれを乗り超えた先輩に相談するのも良いでしょう。

 研究を進めるにあたっては、自主性が非常に重要です。言われたことをやるだけでなく、情報を整理し、自分で考え、状況を判断し、研究を進められるようになることが大事です。誰でも最初から研究者ではないので、自分で研究を進めるというのは、B4にとってはなかなか難しいことですが、研究者を目指すのであれば最も求められる力なので、是非、そうした意識を常に持ち続けてほしいと思います。

5月以降

 成績優秀者は大学院へ推薦で入学できます。不幸にも推薦を受けられなかった場合、大学院に進学するには、一般入試を受ける必要があります。よく勉強して合格してください。

 研究から研究が生まれることが多くありますので、研究室内の研究の進展状況により、より魅力的で発展性のある研究テーマが浮かび上がれば、最初の研究テーマからのテーマ変更も有り得ます。したがって、最初の研究テーマでうまくいかなくても、悩むことはまったくありません。テーマが何回か変わっても立派に博士号を取得した先輩もいます。

翌年2月

 いよいよ卒論発表です。うまくいった人もうまくいかなかった人も発表します。大学院生になったら、学会等でのプレゼンテーションを行うことになるので、プレゼンテーションのやり方を学ぶことも重要です。卒論発表後、同じテーマで発展を目指すか、他のテーマを新たに開始するかは状況次第です。

翌年3月

 学会での発表に見合う結果が出た人は発表します。申し込みは前年の12月初めなので、その時までに結果がまとまっている人になります。


 中田研は非常にアクティブな研究室で、有機化学実験が大好きな人が、教授をはじめとして集まっています。朝から晩まで研究していて、一見、大変そうに見えますが、研究を開始すると、あっという間に時間が過ぎていき、気が付けば夜中になっていた、そしてD3になっていた、というのが実際です。

 生物活性天然物の不斉全合成は、それだけ人を熱中させるものがあります。複雑な天然物の精密な不斉全合成、高立体選択的反応・高エナンチオ選択的反応の開発、新反応の発見、新方法論の開発、新規生物活性創製分子の開発、等々に成功した時の喜びは何物にも代え難いものがあります。そして、その時には、諸君は有機化学を非常に良く知る研究者になっているはずです。

  研究室選びは将来への第一歩にもなるので、よく考えて欲しいと思います。有機化学に興味がある人、実験が大好きな人、自分の作りたい化合物を、分子模型を組みたてるように合成できるようになりたい人、などの諸君の期待を中田研は裏切りません。やる気に溢れる諸君の配属を研究室全員で待っています。


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