早稲田大学|先進理工学部|化学・生命化学科|ケム・インフォマティクス研究室(清野淳司研究室)

ケム・インフォマティクス とは

化学では周期表上にある100種類程度の元素の組み合わせから、無限に近い化合物が創出されます。実際に合成が確認され、化合物データベースに登録されている化合物数は億を超え、さらに年間約1千万個の新たな化合物が登録され続けています。しかし、このような膨大な数の化合物の創出において、従来の化学研究では実験化学者の経験と勘に頼ってきました。そのため、その化合物が所望の物性を示すか否かは、必ずしも自明ではありません。化学研究において、セレンディピティ(偶然の発見)がしばしば取り沙汰されるのはこのためです。近年のコンピュータの発展により、計算化学を用いることで、化合物の物性を高い精度で予測できるようになり、いわゆる順方向のスクリーニングが可能となってきました。しかし、革新的な材料の開発などで求められる、物性から化合物を予想するという逆問題を解くには至っていません。インフォマティクスと実験・計算化学の融合は、双方の問題を解決に導くことができると考えられています。

研究内容

本研究では、次の3つの難題の解決に寄与するための諸手法を開発します。①データベース内の億を超える化合物の中からどのように所望の物性を持つ化合物を選択するのか、②1060通り以上の可能性を持つ未知・既存化合物の中からどのように有用な化合物を設計するのか、③有望な化合物をどのように合成するのか。これらの問題を解消することにより、セレンディピティを回避した革新的な材料の開発が可能となります。これを実現するためには、データ数は限定されているが正しい結果を与える「実験化学」、結果は必ずしも正しいとは限らないが大量のデータを生成できる「理論/計算化学」、実験/計算データを繋いてまとめ、さらに未知の化合物群も探索できる「インフォマティクス」、の融合が不可欠です。この融合により、所望の物性を持つ材料探索や、化合物の合成経路設計を完全自動化するスキームを確立し、実際に実用化することができます。

※最新の研究は2022年度以降に記載します