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研究内容

固体、液体表面における分子の
構造とダイナミックス

 伊藤研究室では,固体や液体表面における分子の構造、配向、分子間相互作用、構造およびエネルギー緩和過程を、高感度赤外・ラマン分光法、非線型レーザー分光法、走査型トンネル電子顕微鏡などを用いて調べることにより、2次元系の構造化学の新たな地平を拓くことを目標として研究を進めている。以下に、具体的研究テーマをまとめる。

  1. 赤外反射スペクトル(IRAS)測定装置を用いた金属単結晶表面吸着分子の構造と反応性の研究:
    低速電子線回折装置、質量分析器を備えた超高真空チャンバーにIRAS (4000-600 cm-1領域で測定可能)装置設置して、銀や銅などの(110)表面上におけるエーテル、スルフィド類の吸着構造を調べている。
    IRAS法では吸光度スケールで10-6の超高感度を実現し、分子の孤立吸着状態から飽和吸着状態にいたるスペクトルの詳細な変化を観測しつつあり、それらの理論計算による解析結果をもとに、一連の基板基板における分子の吸着構造と吸着様式を説明する統一的なモデルの構築を試みている。
  2. 高感度赤外・ラマン分光法による気−液界面構成分子の構造と反応性の研究:
    水面上に展開したアミノ酸、およびジアセチレン誘導体やリン脂質単分子膜の分子専有面積の減少にともなう配向や構造の変化をフーリエ変換赤外スペクトル法を用いて調べている。また、f値が1.8のきわめて明るい分光器と液体窒素冷却CCD検出器を用いて単分子膜測定に充分な感度を有するラマン分光器を製作し、水表面上におけるジアセチレン誘導体の配向・凝集状態と光重合機構との関連についての研究を進めている。
  3. 和周波発生レーザー分光による種々の界面構成分子の構造とダイナミックスの研究:
    種々の界面が示す光学的2次および3次の非線形性にもとずく和周波発生(SFG)振動分光法は、界面に存在する分子のみの振動スペクトルを与えるという意味での高い選択性を持ち、かつピコ秒以下の時間分解能を有しており、究極の表面振動分光法といえる。
    本研究では、SFG振動分光法を用いて気-液界面を構成する分子の構造とダイナミックスの研究を、アミノ酸、およびジアセチレン誘導体やリン脂質単分子膜を対象として行っている。現在、4000-1000 cm-1の領域でパルス幅数ピコ秒の赤外レーザーパルスの定常的発振を実現し、標準試料を用いて測定条件の最適化を行なっている。

早稲田大学 | 理工学部 | 化学科

Copyright© 2003, Furukawa Research Group, Department of Chemistry, School of Science and Engineering, Waseda University.