多段階酸化還元能を有する錯体の創製

 一分子で多段階多電子酸化還元挙動を示す錯体は興味深い。我々は以下に示すRu三核錯体をユニットとした14段階15電子の可逆な酸化還元挙動を示す四量体を合成した。
Ruによる多段階酸化還元を示す錯体
図1 Ruによる多段階酸化還元を示す錯体
 綿密な分子設計を行うことにより得られた三核錯体の架橋四量体は、正電位方向への掃引で五段階六電子の、負電位方向への掃引では九段階九電子のほぼ可逆な酸化還元挙動の、合計で十四段階十五電子もの可逆な酸化還元挙動を示すことが明らかになった。このことによりRu三核錯体が酸化還元活性な多核金属錯体の構築素子として有用であることが明らかになった。


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