Ru三核錯体をユニットとしたデンドリマーの合成と電気化学的挙動

 図1に挙げたルテニウム三核錯体は溶液中において多段階の可逆な酸化還元挙動を示す。サイクリックボルタモグラム(図2 横軸は電位を、縦軸は電流値を示す。連続的に電位を変えながらその時に流れる電流を測った図)にその様子が示されている。このときルテニウム三核錯体の三つのルテニウムはそれぞれ(III III IV)、(III III III)、(III III II)、(III II II)の状態をとる。

Ru三核錯体 Ru三核錯体のサイクリックボルタモグラム
図1 Ru三核錯体 図2 Ru三核錯体のサイクリックボルタモグラム
 この酸化還元電位は図1の配位子L、架橋カルボン酸RCOO-を変えることによってある程度制御できる。RCOO-やLのpKaが大きい程負電位シフトすることがわかっている。
 これらの性質を利用して、三種類のルテニウム三核錯体を持ち、三種類の酸化還元電位を持つ10量体を合成した。この10量体はそれぞれの酸化還元電位の違いを利用して中央のユニットに電子を集める性質を持たせている。
Ru三核錯体 10量体
図3 Ru三核錯体 10量体


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