研究ハイライト
研究レビュー | ||
(1) 振動分光法と密度汎関数法計算によるp-ターフェニルの立体構造解析 p-ターフェニルの安定構造,赤外・ラマンスペクトルを,B3LYP/6-311G**レベルの密度汎関数法で計算し,p-ターフェニルの溶液,融解状態における赤外・ラマンスペクトルを解析した.観測スペクトルは,リング間CC結合回りの2つの回転異性体,らせん構造(D2)と交互ねじれ構造(C2h),が共存することで説明できた.らせん構造の518と375 cm-1バンドが,交互ねじれ構造の483と329 cm-1バンドに,それぞれ対応しており,これらのバンド波数は回転異性に鋭敏であることがわかった. ![]() 1. J. Mol. Struct., 735/736, 11 (2005). (2) 有機発光ダイオードにおけるホール輸送材料NPDの結晶/非晶マーカー 有機発光ダイオード (LED) においてホール輸送材料として使用されているN,N'-di-1-naphthaleyi-N,N'-diphenyl-1,1'-biphenyl-4,4'-diamine (NPD) のラマンスペクトルでは,結晶で1609, 1288, 1198 cm-1,非晶状態で1607, 1290, 1192 cm-1であった(図2).非晶状態のバンド幅は結晶状態よりも広かった.これらのバンドは,NPDの結晶/非晶状態のマーカーとなる. ラマン分光はNPDの結晶化(LED劣化の一因)の検出に有用な実験法である. ![]() 2. Chem. Phys. Lett., 405, 330 (2005). (3) 高分子発光ダイオードの動作によるPEDOT-PSSのラマンスペクトル変化 ITO/PEDOT-PSS/PF8-F8BT/Li-Al構造のLEDのラマンスペクトルを,励起波長 633 nmで測定した.LEDの初期輝度は 10,000 cd/m2であり,30 min点灯後にラマンスペクトルを測定したところ,PEDOTのラマンバンドの強度が増加した.この結果は,点灯によりPEDOT鎖が還元されたことを示している.PEDOT鎖の還元は高分子LEDの寿命を短くする要因の一つであると思われる. ![]() 3. Chem. Phts. Lett., 412, 395 (2005). |
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論文など ● 原著論文
2. "Crystalline/Amorphous Raman Markers of Hole-Transport Material
NPD in 3. "Raman Spectral Changes of PEDOT-PSS in Polymer Light-Emitting
Diodes 4. "IR Study on Stacking Manner of Peptide Nanorings in Peptide
Nanotubes"
5. "Structural Study of Thin Films of Neutral and Potassium-Doped
Oligophenylenes 6. "Infrared Spectroscopy of Pentacene Thin Film on SiO2 Surface"
7. "Study of the Interaction of Tris-(8-hydroxyquinoline) Aluminum
(Alq3) with
1. 「高分子の構造」,「高分子の機能」 2. 「フーリエ変換型分光器」 3. 「赤外吸収スペクトル測定」
1. "Voltage-Induced Infrared Absorption from Polymer Field-Effect
Transistors" 2. 「高分子電子デバイスの赤外・ラマン分光」 3. 「有機電界効果トランジスタの赤外分光」 4. 「赤外分光法による有機TFTの構造解析」 5. "Infrared and Raman Spectroscopy of Polymer Light-Emitting
Diodes and
1. 文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(A) 2. 文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(C)(企画調査) 3. 文部科学省科学研究費補助金 学術創成研究 |