水分子を例としてDCDFTBMDの一点計算について説明します。
2.1. DFTBの理論
密度汎関数強束縛(DFTB; Density Functional Tight-Binding)法の全エネルギーは、Kohn-Shamエネルギーを電荷密度でTaylor展開することで得られます。電荷揺らぎの項がないものをDFTB1、2次までの項を考慮したものをDFTB2、3次までの項を考慮したものをDFTB3と呼びます。
電荷揺らぎの項は自己無撞着場的に決定するためSCC-DFTB(Self-Consistent-Charge DFTB)と呼ばれることもあります。
2.2. インプット:DFTB2
DFTB2を計算する場合は、SCCのキーワードセクションを指定します。SCC=TRUEとすると計算が可能です。細かな指定はマニュアルを参照ください。
2.3. 計算結果:DFTB2
SCC-DFTBでは自己無撞着場的に電荷を決定していきます。デフォルトの設定では、エネルギーが10-9 [a.u.]、電子密度が10-6 [a.u.]以下の時に計算が終了します。今回は6回の繰り返し計算で上記の閾値を満たしました。
2.4. インプット:DFTB3
DFTB3を計算する場合は、SCCキーワードにTHIRDFULL=TRUEと指定します。またHubbard derivativeをパラメータセクションで指定する必要があります。Hubbard derivativeはこちらの値を参照ください。
2.5. 計算結果:DFTB3
DFTB2と同様自己無撞着場的にエネルギーを求めます。DFTB3では7回の繰り返し計算でエネルギーが得られました。